Lobotomy Corporation NG+ のスピードランについてのメモ。True Reset についても最後の方に書いた。
バグ・仕様解説
バグが多過ぎるため、RTA に関係するバグのみを扱う。
職員無敵バグ
追記:大鳥は不要だった。詳細な議論はDiscordにある。情報提供ありがとうございます。
大鳥と以下のアブノーマリティのいずれかを使用し、職員を無敵にするバグ。
- 空虚な夢
- 雪の女王
- 大きくて悪いオオカミ
- 犠牲作業アブノーマリティ
アブノーマリティによって細かい手順は異なるが、おおまかな流れは
- 無敵にしたい職員に大鳥のバフをつける。
- バフをつけたままアブノーマリティに対応した手順を行う。
- 職員が無敵になる。
となる。
空虚な夢
- 無敵にしたい職員を大鳥のマークを付けたまま空虚な夢の脱走効果で眠らせる。
- 起こす。
注意点
- 空虚な夢で無敵にする場合、2人目以降に必ず棒立ちバグが発生するため流れ弾に注意。
- 次に起こした職員はその職員の起こすフラグを消費して前の職員の起きたフラグを消費する。自分は起きないが前の職員は起きる。
- 上の方法をつかって無敵職員を「起こす」と無敵が剥がれるので注意。
- 複数無敵職員を作る場合には問題ないと思う。たぶんその職員のフラグも虚空に消える。
空虚な夢のバグについて
職員無敵バグとは別に空虚な夢固有のバグもあり、そのバグとも関連がある。
- 何らかの理由で起こすフラグと起きたフラグの不一致が起こると棒立ちバグが発生する(上記の状態や処刑弾など)。
- 棒立ちバグによる死亡を回避するにはオフィサーを眠らせてオフィサーのフラグで職員を起こせばよい。
評価
- 流れ弾を気にするのが面倒なので不採用。一度に複数職員を無敵にできるのが特長。
雪の女王
無敵にしたい職員を大鳥のマークを付けたまま凍らせる。
この方法では移動指示・鎮圧はできない透明な職員ができる。
- 大鳥のマークの効果で作業を中断させる。その前に作業を終えると普通に凍ってしまう。
- 救出しないで一日を終えると死亡する。
- 救出するとバグが消える。
評価
- 必要なアブノーマリティが少ないのが特長。ちゃんとやるなら胎児システムの方が使いやすい。
大きくて悪いオオカミ
無敵にしたい職員を大鳥のマークを付けたままオオカミに食べさせる。
この方法では移動指示・鎮圧はできない透明な職員ができる。
- 大鳥のマークの効果で作業が中断されると失敗。その前に作業を終える必要がある。
- 大鳥のマークの効果でダメージは軽減されるため耐性はあまり気にしなくても良い。
- 救出しないで一日を終えると死亡する。
- 救出するとバグが消える。
評価
- 雪の女王と同じ。
犠牲作業
無敵にしたい職員を大鳥のマークを付けたまま犠牲作業のルーレットで当てる。
同じ部門の職員・オフィサーをあらかじめ死亡させておくことで特定の職員を狙えるため実用性が高い。
- 犠牲作業を出すアブノーマリティは同じ部門にある必要はない。
- 一日終了時に生き残る。
- 鎮圧もできる。
評価
- 無敵職員の作成が簡単で職員自体の使い勝手も良い。
RTA における使い方
- ウサギ・ボタンのいずれかで起動する。
- ウサギを呼ぶ場合
- 犠牲作業アブノーマリティを収容している部門その他適当な部門にウサギを呼んでオフィサーを殺戮してもらう。これで以下の三点が達成される。大鳥まで鎮圧されないように注意。
- 大鳥のクリフォトカウンターを下げる
- 大鳥のマークの対象を固定する
- 犠牲作業の対象を固定する
- 犠牲作業アブノーマリティを収容している部門その他適当な部門にウサギを呼んでオフィサーを殺戮してもらう。これで以下の三点が達成される。大鳥まで鎮圧されないように注意。
- ボタンを使う場合(胎児システム)
- 大鳥、胎児のカウンターを触れてはならない(ボタン)の上効果で0にする。オフィサーは別途処理する。
- 胎児と壁に向かう女を同部門に配置してボタンだけで完結するのが理想的だがかなり厳しい。
- 規制済みは脱走すると犠牲作業ができないので胎児が適する。ウサギを呼ぶ場合はカウンターを下げる必要が無い規制済みが適する。
- 大鳥、胎児のカウンターを触れてはならない(ボタン)の上効果で0にする。オフィサーは別途処理する。
- ウサギを呼ぶ場合
NG+では引継ぎ枠にWCCAと大鳥を入れて、4,6,7日目の収容で胎児と触れてはならないを狙う(引継ぎバグを使っている場合、この3日間はどちらのアブノーマリティも出現する可能性がある)。安定チャートなら大鳥と胎児を引継ぎ、3日目にWCCA、4日目以降に触れてはならないを狙う。無敵職員はWCCAの燃料棒やゲージ貯めに使える。
職員無敵バグの仕様
効果が多様なのでRTAで使っている部分だけ扱う。
- パニック効果でSPが0になると作業が中断される。元々SP0の職員は作業開始直後に収容室から出てくる。
- 一部即死効果は無敵を貫通する。歌う機械とか。逆行時計も一日の終了時に死亡する。
- 無敵効果は翌日以降も残る。これによって無敵職員を量産できる。再挑戦等の操作をすると効果が消える。状態が日をまたぐあたりの仕様は逆行時計の連続使用不能バグに近い。
原理(推測)
- アブノーマリティによって犠牲職員などに付与される無敵効果は本来制御不能と一緒に付与され適切なタイミングで解除されるはずが、大鳥のマークによる強制効果によって制御不能が外れた状態なのだと思う。シェルターに入れると無敵効果が解除されるため、この無敵状態自体はシェルターによって付与されるものと同じ気がする。無敵の外れ方からして、大鳥ではなく各アブノーマリティが無敵を付与しているような挙動に見える。
- 免疫ではない。IMMUNE表示が出ていない上に一部即死効果も無効化するため。
参考
【Lobotomy Corporation】[最強バグ]超耐性エージェント&インビジブル職員 放置で白夜、赤い霧、調律者鎮圧 - YouTube
【Lobotomy Corporation】[バグ]「透 明 人 間」インビジブル職員、体力5億の職員 - YouTube
ストレージバグ
フレームレート依存性
フレームレートによってアニメーションスピードが変わる。顕著なのは非作業パートで、ロード、会話含めて全てのアニメーションが速くなっている。影響を受けている要素は他にもあると思う。バグではない。バグではないが、RTA は致命的な影響を受ける。
True Reset の現一位、二位の動画。ロード後のアニメーション速度が異なる。
他にはダークソウル2や Inscryption、Machinarium などのゲームでもフレームレート依存性が報告されている。NTSCとPALの違いは有名だが、PCゲームで RTA をする場合もフレームレートは気にした方が良い。
Unity とフレームレート
Unity の Update
関数は毎フレーム呼び出される。時間の長さではなくフレーム数に依存した処理がある場合、処理にかかる時間が変わる。おそらくこれが原因。
ビナー関連のバグ
ビナー周りはバグが多い。
検証で確認できたビナーの無敵バグは以下の二種類。調べた限りでの動画で起こっていたバグもこの二つに分類できる。
- 攻撃と波動が重なることでビナーが停止するバグ
- 作業開始ではなく収容室のクリフォトカウンターを0にすることで特殊暴走が消去された場合、ビナーのバフが解除されないバグ
ビナー棒立ちバグ
HPを0にするタイミングをビナーの攻撃の終わり際を合わせることで起こる。攻撃と形態移行が干渉しているのだと思う。この場合ビナーは無敵になって棒立ち状態になる。この無敵状態は形態移行時に付与されるもので、職員無敵バグに近い挙動と言えそう。攻撃動作中はビナーの移動が止まって火力が集中しやすいこともあり、通常プレイでも割と起こる(参考動画は以下)。狙って起こすのは難しい。第二形態移行時にこれが発生した場合はソフトロックになる。第三形態ではしばらくすると動き出す。
実際には形態移行と攻撃ではなく、波動と攻撃が干渉しているという説もある。検証が難しかったのでここはよく分からない。以下の動画で起こっている棒立ちは、攻撃と吹雪が止まるタイミングから見て波動と攻撃の干渉に見える(投稿者による解説があるが、再現できなかった。おそらく2番目のバグと混同した誤りだとは思うが)。
暴走永続化バグ
特殊暴走が特殊な方法(脱走など)で解除されるとその効果が解除されず、永続化するバグ。厳密には無敵でも進行不能でもないが、それに近い状態になる。ボタンを使うと分かりやすい。収容室から暴走の表示が消える一方、暴走による作業成功率低下などは解除されていない。このバグが起こった場合、次の形態に移行するまでビナーは波動を出さなくなる。黒霧の暴走でこのバグが起こり、耐性の倍率が0.1で固定されると著しいタイムロスになる。このバグで特に危険なのは罰鳥などの他の作業に反応するタイプ、死体の山などの死体反応系。RTA では遭遇しにくいが、各形態で二回目の波動を阻害する使い方はあり得る。
それ以外のバグ(仕様?)もある。
耐性リセット
ビナーの耐性変化は黒霧/柱の暴走付与時の耐性強化、黒霧の暴走解除時の耐性弱化、耐性リセットの三種類がある。耐性弱化の効果中に素早く倒して形態移行させることで、次の形態における耐性強化を耐性リセットによって打ち消すことが可能。
ドア挟まり
仕様。黄金の暴走解除とビナーの区画移動が重なると攻撃できない領域でビナーが停止する。緑の白昼でも同様の現象が良く起こる。暴走解除を一回分透かされるのは致命的なタイムロスになる。
バグ・仕様の解説は以上。以下はチャート。
NG+ RTAチャート 概要
- 事前準備:大鳥、胎児をストレージする。
- 大鳥で無敵職員を作る。
- 無敵職員をWCCAに入れる作業を45日目まで繰り返す。
- 無敵職員でゲージを貯める。
- 無敵職員でボスをボコる。
- 無敵職員をWCCAに入れる。
チャート詳解
- ストレージバグで大鳥と胎児を収容する。
- ボタンが来なくても胎児を泣かせて大鳥脱走を加速できる構成。
- 走ってから気づいたが、この構成の方が安定する上に多分速い。詳細は改善案。
- 従来のツールを三つ使う形式と比べて以下の利点がある。
- 必須要素がWCCAだけになり、乱数依存性が低下
- WCCAサイクルの開始が早まり、タイムが短縮
- 配属と肖像の手順が省略され、タイムが短縮
- 終盤に無敵職員を使えるため、設計チームコア抑制が安定、高速化
- ボタンをなるべく早く収容する。ZAYINはプールが小さいので出やすい。他のZAYINも積極的に収容することでさらにプールを狭くできる。
- 規制済みとウサギで代用可能。こっちの方が安定。とはいえDAY47にはボタンを使うので収容するはする。
- 無敵職員の数は任意。作成する時間はかかるが、作った分終盤が楽になる。とりあえず11人作っておけば全部門をカバーできる。
- 何人作るのが最速なのかは要検証。
- 収容するアブノーマリティは制限がない。ただし好ましいものとそうでないものがある。
- 収容したい:
- 非脱走アブノーマリティ:SP0職員で高速にクリフォトゲージを貯められる。同じ廊下に固めると作業効率が良い。暴走や即死はあっても良い。弱い脱走アブノーマリティも可。
- 収容したくない:
- オーケストラ、白夜:等速強制でタイムに影響するため。
- 夢見る流れ、白雪姫のりんご:移動速度低下等でタイムに影響するため。
- 無敵貫通即死アブノーマリティ:即死するため。作業しなければいいのでどうしても避けたいという訳でもない。
- 収容したい:
- 次の2つの操作は避ける。最悪でも無敵が消えて従来のチャートに戻るだけなので普通にクリアすればよい。間違って行う操作でもないが……。
- 再挑戦
- ボタンの押しすぎによる強制終了
- 指示がまともに回ればボタンを押す必要もない。
いくつかの改善案
以下は容易に行える改善。
- 無敵付与とWCCAの並列化。別部門の職員をWCCAに運べばルーレット演出中にエネルギー生成も進められる。多分こっちの方が速い。走った後に気付いた。以下の仕様に注意する。
- 大鳥のマークは同じ部門に(位置的に)存在している職員のうち、最もHPが低い者を狙うので対象を固定できる。
- 胎児の対象は同じ部門に(配属として)所属している職員から選ばれるので、別部門から燃料棒がやってきても問題がない。
- ルーレットの演出中は操作ができないがクリックで倍速にすることができ、WCCAを後ろで回せる。
- セーブデータの作成。ちゃんとやるなら観測や装備は減らした方がいい。(フレームレートに依存しない、真の)ロード時間が短縮される。装着もしやすい。胎児も泣かせやすい。
- ビナー戦のDPS。白統一で十分な火力が出るかと思ったがそうでもなかった。赤統一+笑顔の方が良いかも。黄金狂はDPSが高いし。
- 一応試走の時は上手くいった。逆行時計の起動を忘れたせいで変な場所で戦闘になったのが悪いと思う。念のため、柱の暴走は永続化した方が良さそう。
- 大鳥のマーク付与前はドアを挟む移動をしない方が良さそう。本走を見ると露骨にマーク付与が早かった。
ここからは試案。
- 逆行時計ダブル収容の可能性。状況を作るのが面倒で検証していない。使えるのか?
- 陰陽龍による爪討伐の可能性。安定しない。いくつか試した限りでは、出現後2分以内に倒せた。でも殆どの場合は普通に討伐した方が速い。上手くいけば出オチもあるため、ポテンシャルを秘めている。
- 陰陽は入射してくる角度に限界がある。浅い角度では入ってこない。陰の収容位置が重要になる。
- 中央チームは陰陽が離れてしまうので不適。
- ストレージバグで陽を先に収容できることがある。この陽は適当なタイミングで陰に変わる。
True Resetについて
True Resetについてもこのバグを使えば世界記録は簡単に取れる。ただしこのカテゴリはWCCAに突っ込むだけで終わるNG+とは異なり、ミッションがあるので考えることが増え、したがってやれることも増える。最重要なのはステータス周りの仕様で、特に一部バフとLOBによる強化が干渉するとランク上昇幅が変化するバグは知っておくとよい。甲冑のギフトを最大限まで上げて勇気を強化すると分かりやすい。このバグと強化画面持ち込みバグとYMBHを使うことで序盤からランク5職員を量産できる(ダメ押しに皮膚の予言まで使えば(短縮はともかく)カンスト職員も量産できる)。これはやや技巧的な要求もあって面白い。深夜討伐があるので陰陽龍の活用も現実的。マルクト・イェソドミッションは最後の作業途中で切り上げてもカウントされるとか、一部武器(ポーキュバス!)に明らかな設定ミスがあるとか、ステータスの説明がそもそも嘘であるとか、細かいポイントもたくさんある。チャートを考える分には結構面白かった。もちろんこの説明は不十分ではある。ただ、このゲームについて言えばwikiとか解説動画とかゲーム自体にも普通に嘘の記載があるので、検証を通じて自分の目でトゥルースを確かめる態度を涵養した方がよいと思う。
追記:記事の公開と前後していくらかのトッププレイヤーがリーダーボードに戻ってきたため、記事を書いた時と比べて状況が変わっている。スピードラン用の本当に小さなDiscordも作成され(参加者は今のところ4人だけだ)、フレームレートについてのルールも制定された。ルールのほかにチャートについてのささやかな議論もあるので興味があれば参加するとよい。